800メートルランナーをめぐるあまりにも鮮烈な恋愛小説
対照的な性格を持つ TWO LAP RUNNERS (800m選手)の中沢龍二と広瀬のふたりが、800mという不思議な距離に魅せられて激しく競争し、恋をして、成長していく。
躍動するリアル。
優等生の広瀬と、野生児の中沢。対照的な二人の高校生が走る格闘技、800メートル走でぶつかりあう。緊張感とエクスタシー。みずみずしい登場人物がおりなす、やみくもに面白くって、とびきり上等の青春小説。
なぜ八〇〇メートルを始めたのかって訊かれたなら、雨上がりの日の芝生の匂いのせいだ、って答えるぜ。思い込んだら一直線、がむしゃらに突進する中沢と、何事も緻密に計算して理性的な行動をする広瀬。まったく対照的なふたりのTWO LAP RUNNERSが走って、競い合って、そして恋をする―。青空とトラック、汗と風、セックスと恋、すべての要素がひとつにまじりあった、型破りにエネルギッシュなノンストップ青春小説。
『動』 の中沢と 『静』 の広瀬を巧みに描き分けたその文体は特筆すべきものがあり、思春期の若者たちを的確に捉えたその密度は重松清に勝るとも劣らず、細部にいたるまで丹念に描かれている。この作品が今なお読み継がれているのは、その徹底的な描写に加えて、溢れんばかりのユーモアとサディスティックなまでの二人の対決、そして複雑な恋愛模様を掬いあげたところにある。