『 あ・うん 』

説明

  向田邦子が一番愛した 唯一の長編小説

昭和初期の山の手を舞台とした、製薬会社のサラリーマンの水田仙吉と親友の実業家門倉修造、門倉に慕われる仙吉の妻たみ、仙吉夫婦の一人娘さと子、門倉の愛を得られぬ妻の君子を中心とした、暗い昭和の支那事変前夜の人々の暮らしを描いている。
タイトルの「あ・うん」は、仙吉の父初太郎がこの二人をさして「神社を守っている狛犬の阿(あ)と吽(うん)だ」と評したことに由来する。

喧嘩をしても、まるで「あ・うん」の狛犬のように息が合い離れない男の友情――門倉修造と水田仙吉は、20年来の友達だが、見かけも気性も財力も正反対ときている。門倉は仙吉の妻の秘めたる色香をひそかに愛している。
そんな大人の関係を不思議な思いで見ていた仙吉の娘さと子の恋人に召集令状がきた……。
昭和10年代の愛しい一途な日本人像を浮彫りにする著者最後のTVドラマ。