『 哀愁の街に霧がふるのだ 』

説明

イラストレーター、弁護士、作家、サラリーマン・・・

舞台となる「克美荘」は総武線小岩駅下車徒歩7、8分。江戸川区の中川放水路沿いにあるアパートで家賃は六畳一間で5500円。ここで4人の男達の共同生活が始まる。イサオは中学時代の同級生。沢野は高校時代の同級生で、木村はその友人。もともとイサオは一人暮らしをしていたので、アパートで暮らす必然性があったわけだが、他の3人は親と同居していたためアパート暮らしをする必要は全くない。ましてや、木村は司法試験を目前に控え、わざわざ勉強の妨げとなる共同生活を始める理由はない。

でも「お前が来ないと面白くないよ」「勉強なんかいいから、お酒を飲もうよ、毎日…」「銭湯なんかに入って、将棋やってカツ丼食べましょうよ、ネエ」「沢野も来るしさあ」という椎名の口説き文句に負け、木村はトランクに法律書を詰め込んで「克美荘」に引っ越してくる。でもこの口説き文句にはやられてしまいますよね。親元を離れた下宿生活にはこのような甘美な響きがある。常々、光陵生諸君にも「大学へ入ったら自宅通学なんかやめて一人暮らしをしなさい。」「関東圏では物価も交通費も嵩むから、地方の国立大学へ行きなさい。」と口を酸っぱくして言っているが、どうも口車に乗る者は少ないようだ。

この本を読めば少しは意欲が高まるかも。 六畳一間での男4人の共同生活とはどういうものなのか。